開かずのトイレ
大学一年生、一人暮らしを始めて数ヶ月。その事件は起こりました…
家から大学まで近いこともあり、朝はギリギリまで寝て、急いで支度をして家を出るのが日常です。
その日も、いつものようにギリギリまで熟睡していました。
うるさいアラームを止めて、寝ぼけ眼でトイレに向かいます。
そしていつものように用を足して、顔を洗い、歯を磨き、着替えをして…
え、開かない。
トイレの扉が開かない。
ドアノブがびくともしないのです。
急速に眠気が覚めていくのを感じつつ、トイレの鍵を確認すると、
ロックされていることを示す赤色の表示。
中に誰かいる…??
そんなはずありません。私は一人暮らしです。
玄関の鍵が開いていて誰かが黙って入ってきた?
恐る恐る玄関の鍵を確認しますが、もちろんしっかり施錠されています。
もしかして…霊的な何か…??
なんてことをぐるぐる考えながら、とりあえず心を落ち着かせるためにテレビをつけました。
テレビの騒がしい音を聞いてぼーっとしているうちに、あることに気づきます。
トイレの鍵くらいならロック解除できるはずでは?
普通の家のトイレがそんなに頑丈にロックされるはずがありませんよね。
スマホを取り出してトイレの鍵の開け方を検索。
コインがあれば簡単に開きそうです。
でももし誰かがいたらどうしよう、
いや、人ではない何かがいたら…
これ以上もたもたしていると1限に遅れてしまうこと、
そして私の尿意が限界に近づいてきていることもあり、勇気を振り絞って鍵を開けました。
すると…
何食わぬ顔でいつものトイレが出迎えてくれました。
やはり、何かの拍子でトイレの扉を閉める時に鍵がかかって閉まったのでしょう。
何事もなくてよかった。
そしてちゃんと1限にも間に合いました。
めでたしめでたし。