親の思いは子供に通じるか?
玄関をリフォームするのは良く聞く話だが、鍵だけ交換する人なんているのだろうか?と昔の私は思っていた。
息子がグレ始めると、家にあるモノを勝手に換金。何度注意をしても息子はヤメない、今度同じことをしたら、家に入れないと警告したのだが、息子はまたやった。
警告しといて実行しないと息子に舐められると思い、玄関ドアにチェーンをするようにした。すると、私が在宅中は息子は家に入ることはしなくなったのだが、チェーンは外から掛けられないため、息子は家族がいない時に家に入り、勝手にモノを持って行くようになった。
そのことを同僚に話すと同僚は笑った、私だって他人の子供なら笑えるが、自分の子供となると笑えない。
妻は「そこまでしなくても」と言うが、私は玄関の鍵を業者に頼んで別のものに変えてもらった。
私が在宅の時は、息子は家に寄り付かない、家族がいない時に息子は帰って来たのか、玄関ドアには息子の足跡が付いていた。
勝手に鍵を変えたことにイラ付いて玄関ドアを蹴ったのだろう、足跡のとこだけドアは凹んでいた。
ドアを蹴るということは、反省をしていない証拠。
鍵が変わっているため、息子が家の中に入った形跡はなく、何も失くなっていない。
家に入れないと、息子は家に寄り付かない、それはそれで親として心配。
家族のモノを勝手に持って行っても、家族が息子を訴えることはしない、しかし、お金欲しさに他人のモノを盗むかもしれない、そうなったら、鍵を交換したことは失敗。
他人に迷惑が掛かるのはマズイため、息子が今度帰って来たら新しいカギを渡そうと思っていたのだが、家に寄り付かなくなった息子は半年ほど音信不通になってしまった。
家に寄り付かなくなって約半年ぶりに息子が戻って来た、私が在宅時に。
私、「久しぶりだな」
息子、「・・・」
妻、「元気にしてた」
息子、「うん」
私、「腹は減っているだろ?」
息子、「・・・」
妻、「何処に住んでいるの?」
息子、「アパートを借りて住んでいる」
妻、「今日は家に泊まってきなさい」
息子、「アパートに帰る」
私、「メシは食えているのか?」
息子、「・・・」
妻、「用事があったから帰って来たのでしょ?」
息子、「これアパートのスペアキー、落とすといけないから持ってて」
妻、「お母さんアパートに遊びに行っても良い?」
息子、「別に良いけど」
私、「父さんも行っても良いか?」
息子、「・・・」
半年ぶりの再会だったのに、息子は結局、私とは一言も話さなかった。
今度はアパートの鍵を変えてやろう、勝手に。