鍵は植木鉢の下に

借家人が鍵を失くした ある日のこと。借家人から、慌てた声で電話がありました。借家の鍵をどこに忘れたのか分からないと連絡が入ったのです。日曜日の朝から突然のトラブルに巻き込まれた思いでした。急いで、借家に向かうと借家人が困った顔で迎えました。電話で大体のことは聞いていたので困っている実情はよく分かりました。借家人が鍵を失くしたのは、これで2度目です。契約時に借家人には予備の鍵も渡していました。家主のマスターキーまで渡してしまっていたので手元に予備の鍵は残っていません。ドアを壊して家に入るか。窓を破って家の中に入るかという選択肢しか、急には、思いつきませんでした。よく考えて、専門の鍵屋に頼むことにしました。 鍵は何と植木鉢の下に 鍵屋が来るまでにしばらく時間がかかりました。借家人はオロオロとしています。今日は日曜日なので友達と出かける約束をしていたみたいです。早く中に入って、着替えをしなければ約束に遅れてしまうことをしきりに危惧していました。そんな時に、植木の下を覗いてみると金属のようなものが目につきました。もしやと思い尋ねてみると、家の鍵でした。植木鉢の下に鍵を隠していたのを借家人が忘れてしまったようでした。それから暫くして、鍵屋が書き付けて来てくれました。事情を話すと、納得した様子でした。それでも鍵屋は何もしなかったのに、出張費用だけは請求されました。何と家主が払う羽目になりました。本当に予想もしないトラブルでした。